ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.114 "増田光さんのクマ愛" "金井二―奈さんのクマ愛"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.114 "増田光さんのクマ愛" "金井二―奈さんのクマ愛"

<2018年6月号>

増田光さんのクマ愛

増田光さんは、愛知県常滑市で作陶。
光さんの作品を一度見たら忘れられないほどユニークでファンタスティック。
そこにあるだけでホッコリ、ニンマリするというのは、作品だけではなく、キュートな光さん自身もそんな存在。
そしてクマモチーフの作品が多いのは、光さんのクマ愛の大きさを物語っています。
美大生だった時に衝撃の出会いをしたクマのぬいぐるみ。
それが可愛くてたまらず、そのパッションのやり場がなく、クマを焼物で作ることで満足感を得ていたのが現在に至る・・・。

大学4年生の時、陶芸家・吉川千香子さんのアシスタント募集を知り、卒業後、アトリエのある常滑へ。
大学では作陶するのにいろいろなルールがあったが、吉川さんはルールに縛られず自由に制作されていた。
当時60歳の吉川さんは、光さんが思い描いていた60歳の女性ではなく、よく遊びオシャレを楽しむステキな人で、
自分もそんなふうに歳を重ねたいと感化されたとのこと。
また、アシスタントから独立した先輩たちがどんどん活躍していく様子を見ることも刺激を受け、4年後、光さんも独立。

作っている時間が楽しくて、いざ作業を始めると、食べるのもトイレも忘れて没頭。
作業台で空腹を満たすだけの食事をすることもしばしば。
昨春、陶芸家・大澤哲哉さんと結婚し、光さんが忙しい時は美味しいごはんを作ってくれ、
ちゃんとテーブルで食事するという人間らしい暮らしになってきたと苦笑いの光さん。
同業者の夫婦だからこそ、よい作品ができた時は一番に見せて感想を言い合える喜びもあり、仕事も家庭も楽しそう。
ぜひ光さんワールドをお楽しみください。















金井二―奈さんのクマ愛

金井二―奈さんは、千葉県成田市でテディベアを制作。
私自身、テディベアというものにほとんど関心を持ったことがありませんでした。
テンの企画展でお世話になっている編みぐるみ作家・横道佑器さんの紹介で初めてニー奈さんのベアを見た時、胸が熱くなりました。
今までは目や耳が大きくて鼻ペチャで可愛らしいというベアのイメージを持っていましたが、
二―奈さんのベアは、リアルでズッシリと重く肉感があり、まるで生きているクマの赤ちゃんのようでした。
それはもはやぬいぐるみではなく、親愛の情がフツフツと湧いてくるようなペットに似た存在でした。
ニー奈さんのベアのファンがたくさんおられ、また国内外でのテディベアのコンテストで多くの受賞も納得。

アラスカの大自然や動物たちを撮る写真家・星野道夫氏のクマの写真に心動かされ心洗われるとニー奈さん。
1997年に作り始めた時から、本物のクマの自然な様子を思い浮かべたものを形にしているのだそう。
ニー奈さんの目から得られるクマそのものがニー奈さんの目線・フィルターを通してできるなんとも優しいベア。
また、作った時代の自分自身を投影しているかのようにベアも変化していると。

以前、星野さんにゆかりのある清里のあるお店で二―奈さんのベアを置いているところからご縁があり、
星野さんの写真とニー奈さんのベアの夢のような感動的なコラボ展が実現したこともあるそうです。
ずっと作り続けているのは、テディベアというものの奥深さや、彼女のベアを愛してくれる方たちに救われているからだと言う。

ぜひ、ダッコしてみてください。ニー奈さんのベアの虜になっていくのを実感するでしょう。















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