ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.95 "高橋朋子さんのPLANTS" "栗城三起子さんのPLANTS" "やざわしのぶさんのPLANTS" "石谷真美さんのPLANTS"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.95 "高橋朋子さんのPLANTS" "栗城三起子さんのPLANTS" "やざわしのぶさんのPLANTS" "石谷真美さんのPLANTS"

<2016年10月号>

高橋朋子さんのPLANTS

いまや一年中展覧会で全国を飛び回っている朋子さん。器やオブジェも制作しますが、今回は有機的なカタチのブローチを展開。
自然界の植物や貝などからインスピレーションを受け、有機的な美しい造形や、光を通した透明感を表現。
民族的・宗教的、あるいは人間の持っている文化的なものを反映し文様化した銀彩やラスター彩も多様。
やきものならではの質感や緊張感のあるオブジェのようなブローチです。
朋子さん自身は、子供が砂浜でみつけたものを集めるような感覚で、自然でエキゾチックなものを作っていっている。
ギャラリーや百貨店やクラフトフェアなどで販売するために制作する一方で、今回”日本伝統工芸展”に初出品初入選!
公募展に出すことで、暮らしの器だけではない工芸のものの見方や社会的成り立ちや歴史を改めて考察することができ、
また、新たな未知の世界の人との出会いがあり、刺激を受けるのだそう。
朋子さんは、北海道生まれで、陶芸は沖縄芸大で学ぶ。日本だけど独特の文化・風習を持つ沖縄で土着の何かを肌で感じてきた。
朋子さんは自分のことを”やきものオタク”と言います。日々探求し続け、確実に前進していくことが見て取れ、今後がますます楽しみです。







栗城三起子さんのPLANTS

ミキコさんほど植物を愛してやまない人はいないのではないか、もしかすると植物の化身?妖精?ではないかと思うほどです。
自然から少し切り取らせてもらったものを、あるがままの姿を活かし作品とし、そのまま乾いていく姿を永く見守っていく。
ミキコさんと私は同い年で数年前からのお付き合いですが、彼女の仕事に対するストイックなまでの姿勢にいつも感化されます。
彼女から発されるモノづくりに対する言葉ひとつひとつが詩的で情愛に満ち、美への追求がただならない。
それらの言葉を聞くたびにホワんホワんと胸が熱くなり、心に刻み付けようと思うのですが、表現のボキャブラリーの豊富さに覚えきれません。
思わずボイスレコーダーにでも録音してあとで聞きなおしたいくらいです。
言葉の表現もさることながら、ミキコさんの感性が彼女の手を伝ってスルスルとリースやスワッグになっていくのも素晴らしい。
意図せずに風のように作るのだそうです。
今回、そんなミキコさんにより、スワッグづくりのデモンストレーションを行います。
ぜひ、ミキコさんのワードを一言一句聞き逃さず、ミキコさんの神の手が成す過程を一瞬たりとも見逃さないでください。
昨年出版された季節のリースの書籍に続き、11月に第二弾が出版されます。惚れ惚れとするような美しい写真集です。お楽しみに。








やざわしのぶさんのPLANTS

毎朝の散歩は植物との新しい出会いが多く、それらへの憧れをしのぶさんは自分の作品に表現します。
20代の頃、旅好きのお友達とバックパッカーで中南米を半年ほど歩きまわり様々な民族衣装に触れる。
また、インドのいろんな場所を旅した時、地域によって女性が着るサリーの色や素材や柄が変わっていくのを見て、布で何かやりたいと決意。
帰国して、織物をしてみたり、原毛を紡いでみたり、いろいろやってみるうちにフェルトの技法に出会う。
もともと絵を描きたかったことから、布に原毛をニードルパンチで絡ませフェルト化させながら絵を描くように柄を付けたストールにいきつきました。

山と海のある田舎に暮らしたいと移住してきた房総半島の最南端・館山には、大自然に恵まれた海、山、空、地面、植物がある。
そんな自然に囲まれた場所にいると空間の中の”間(ま)”を意識し、全体の中の余白や配置に美しさを見いだすようになったと言います。
しのぶさんのストールに配された幾何学的な植物模様からは、たしかに彼女独特の色・柄・輪郭の妙とプロポーションがある。
しかも、植物のモチーフは大人の女性が乙女心をくすぐられるキュートな魅力たっぷり。
全て一点もの。どれを選ぶか悩まされますよ。ご高覧ください。








石谷真美さんのPLANTS

愛媛出身の石谷さん、子供の頃から砥部焼に触れることが多く、その時すでに食器に囲まれているのに幸せを感じていたそうです。
また絵を描くのが好きで、小学生の頃からなにかと賞をもらうことも多かったとか。
女子美に進学し、産業デザインを学び、卒業後は企業内デザイナーとして店舗設計に携わっていました。
仕事をしながら、週末に陶芸を習いはじめ、それがおもしろくてどんどんハマっていき、10年近く趣味で陶芸を楽しんでいました。
40歳になった時、今後の自分のためにと思いきって会社を辞め、陶芸家として新しい一歩を踏み出すことにしました。
石谷さんの器には、ポップな有機的な絵柄が施され、ウチのカフェで石谷マグでコーヒーを出すと「わぁ!かわいい!」と大好評。
カップなどには、外側だけではなく内側にもしっかりと絵付けされていて、器が空っぽになった時まで楽しめるのです。
作陶しはじめたら楽しくてたまらず、いつまでも作業をし続けてしまうそうです。
伊豆高原に移住して9年、自然の中、はつらつと仕事をし、充実した毎日を過ごしている石谷さんです。
今回、バリエーション豊かにいろんな器が勢ぞろいします。お楽しみに。







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