kakapoのテキスタイルとシャツ
上の写真は、京都の染織工場。“kakapo”のシャツができる前の気の遠くなるような工程の一部です。
吟味された数十メートルの白生地を糊付けして張る。
その上に、“シルクスクリーン”の技法で、一つの枠に一色を、何度も何度も摺りつなげていくという作業です。
その後、また違う枠を使って、違う色を摺り重ねていきます。
このデザインをしているのが、新田陽子さん。彼女は、兵庫県姫路市ご出身。
京都市芸大の工芸科で染色を専攻。京都芸大では当時ファイバーアートが全盛時代の先生がたによる、
アーティスティックな授業カリキュラムが中心だったそうです。
じっくり生地づくりについて学びたいと、沖縄芸大・大学院に進まれました。
世界中でテキスタイルの展覧会をされている“NUNO”ブランドで、3年間、企画のお仕事を。
昨年独立して麻生桂志さんと“kakapo”を立ち上げました。
彼はテキスタイルコンバーターでのキャリアを重ね、現在、生地のエキスパートとして
“kakapo”の企画・プロデュースを担っておられます。
新田さん・麻生さんの生地に対する愛と情熱が“kakapo”そのものなのです。
カカポは、ニュージーランドの島に生息する絶滅危惧種の鳥で、人懐っこい性格で長生きするのだそう。
現在、保護団体によって守られています。
“kakapo”はその鳥にあやかって、誰かに見守られながら、細く長く続けていきたいという願いがこめられているとのこと。
テキスタイルにこだわり、それが一番活かされるシャツを創る。 今回は、シャツと同時に、生地の展示もします。どうぞお楽しみに。
池田順子さんの暮らし
ある日、店内に一人の女性が入ってこられました。
彼女の持っておられたバッグがあまりに素敵で、「そのバッグはどなたかの作品ですか?」と尋ねずにはいられませんでした。
「あ、これは私がつくったのです・・・。」と。 彼女が池田順子さんでした。
そこから今回の展覧会の話がトントン拍子に進みました。
話をすればするほど、モノの好き嫌いや思考の方向に、共感することが大変多いことに気が付きました。
ご自宅にお邪魔したら、なるほど彼女の感性によってセレクトされた空間づくりに感心しました。
昔から古道具がお好きだそうで、いたるところにアジのある唯一無二の使い込まれたモノにあふれていました。
たくさん置いてあるのに雑然としていなくて、それらが全て池田さんのマジックによってレイアウトされている。
いろいろな素材や色の革の組み合わせの妙と、ほどよいステッチが効いています。
カタチも魅力的です。バケツ型、ショルダー、トート型、変形もの、・・・。
右の画像は、池田さんのバッグづくりに使う道具です。
革は分厚く硬いので、太い針でステッチすることは容易ではありません。
右列の上から3つめの、ギザギザのフォークのような目打ち道具を木槌で叩いて、ステッチの穴を開けます。
革を何枚も重ねてステッチすることもあり、開いた穴に通す針はペンチで引き抜くそうです。
結構、重労働です。根を詰めて作業をすると、腱鞘炎になることもあるとか。
革やステッチの糸のコンビネーションは、池田さん独特のものがありますが、
今回、ワークショップでのポーチづくりを通して、革作品の楽しさ体験のチャンス。ご参加ください。
コラム vol.43 "kakapoのテキスタイルとシャツ" "池田順子さんの暮らし"