田辺京子さんと九谷焼
生まれも育ちも金沢の田辺京子さん。
金沢は、茶の湯をはじめ、漆、やきものなどの伝統工芸が盛んで、豊かな文化が根付いた町。
なかでも”九谷焼”は最たるもの。
”五彩”と呼ばれる、赤・黄・緑・紫・紺青の5色で描かれているのが特徴。
九谷焼と言うと真っ先に私の頭に浮かぶのが、黄土色と緑、そして松の木というイメージ。
京子さんが中学時代、美大生の家庭教師の女性が、とても利発でかっこよく見え、なんとなく自分も美大に行くものだと思いこんでいました。
とは言え、漠然と美大へと思っていただけで、高3の秋の時点でデッサンの練習をするどころか鉛筆も画板もなかったとのこと。
結局、大学は美大ではなく文系の学部に進学し、卒業後は大阪の服飾メーカーに就職。
ある時、金沢美大の聴講生として受講する機会があり、突然「私には制作しかない!」と会社を辞める決心をしました。
九谷研修所に入り3年間の楽しい学びを得、その後、難関”卯辰山工房”に入り3年間の辛く厳しい学びを得ました。
テンのスタッフ・久世礼は当時の後輩で、京子さんをアネゴとして尊敬し慕っています。
京子作品は一見、いわゆる古典的な九谷焼さながらの華麗で斬新な色柄。
よく見ると、九谷カラーを踏襲しながらも、なんともユニークでウィットに富んでいる上絵にププっと笑みがこぼれてしまいます。
そのシュールでユルい底抜けの明るいセンスは、京子さん自身の気さくで楽しい人柄に裏付けられているように感じました。
京子さんの目標、「80歳までゲンキに作り続けたい!」。
体力気力を充実させますます楽しい作品を生み出していくことでしょう。
今回、ゲンキいっぱいのワクワクする器やオブジェが勢ぞろいします。ぜひご高覧ください。
牛尾みずきさんとアフリカンプリント
燦々と強い太陽の下に映えるカラフルで強烈なインパクトのあるアフリカンプリント。
フランス・パリから牛尾みずきさんにより、そのテキスタイルを使った魅力的な服やバッグがやってきます。
みずきさんのお父様が趣味で絵を描いておられ、ご自身も子どものころから絵が好きで習っていました。
青山学院短大で彫刻を学び、その時代の環境がヨーロッパへの興味を与えてくれ、外へ目が向くようになりました。
芸術が生活の一部になっている国で、本物を見て自分を磨きたいと決心し、パリにわたり早20年。
パリに住むことでフランス人以外の移民や外国人と出会い、植民地の影響がヨーロッパにあることを知りました。
パリには西アフリカの人たちが集まっており、彼らの着ている民族衣装のカラフルな生地に魅了され、
コレを日本人がどのように取り入れることができるだろうかと、バッグを作り始めたのがきっかけとなり、現在の活動に至ります。
屋号の”MANANI”は、西アフリカのジュラ(バンバラ)語で”プラスティック”という意味。
驚いたのが、アフリカでは、カラフルなままごとのようなプラスティック素材で、バケツ、人形、皿、コップ、ゴザなどが日常的に使われていること。
”造形”という意味もあるプラスティックという言葉を使って”MANANI”を身近に楽しんでもらいたいという想いで制作しているのだそう。
みずきさんの仕事で一番楽しいのが生地を選ぶこと。
膨大な量の生地の中から自分のアンテナに引っ掛かるものを見つけた時の喜びは言葉に表せないほどだとのこと。
アフリカンプリントは、常に柄や色が変化しており、一度買い損ねてしまうと同じものをまた見つけるのは不可能。
MANANIを始めて18年、いまだに毎回毎回新鮮な生地に感動し、飽きることがないと言う。
今後はカラフルなアフリカンプリントだけでなく、藍染や地紋の入った高級コットンを無地に染めるバザンという生地などを使ったり、
またそれらをアフリカだけにこだわらず、いろんな手仕事とミックスしてMANANI風に作品を紹介したいと考えているようです。
今回は、スカート、ワンピース、パンツなどに加えて、バッグや、アフリカの雑貨も勢ぞろいします。
これからやってくる暑い夏、パーッと気分が晴れるヴィヴィッドな色柄を見にまとってお出かけしませんか。
コラム vol.115 "田辺京子さんと九谷焼" "牛尾みずきさんとアフリカンプリント"