ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.117 "坂井千尋さんのnature愛" "やざわしのぶさんのnature愛"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.117 "坂井千尋さんのnature愛" "やざわしのぶさんのnature愛"

<2018年10月号>

坂井千尋さんのnature愛

東京・日野市で作陶する坂井千尋さん。
千尋さんの作品には、ツバメ、ネコ、トリ、ロバ、犬、ブタ、フクロウ、ウサギ、・・・など、動物がモチーフになっています。
ちょっとリアルなモノクロのそれらは、クールなイメージでありながら、どこか温かみがあります。
千尋さんのセレクトする動物たちは、身近にいるものや自然の中にいるもので動物園で見るものではありません。
彼女が意識されているのか否かはわかりませんが、千尋さんの自然への愛を感じます。
また木版画のような手の仕事の感覚が伝わってくる作風が、よりホッコリ気分を醸し出しています。
カタチは至ってシンプルで、サイズ感、厚さ、重さのバランスがとてもよく、使い勝手もバツグン。
器として使わなくてもインテリアのエッセンスになりうる千尋さんの作品です。

千尋さんのコメントです。
モノクロの器作りを続けてきていくつか他の色味も挑戦しているのですが、
今回の展示では『仄々(ほのぼの)明け』という夜が明ける直前の時間帯をモチーフにしたものと、
『夜の森』という、二つのシリーズを加えて制作しようと思っています。
動物や風景などにあこがれて描いていますが、情景とともに時間の意識を色にすることで
モノクロを含めた全体の世界観を損なわないで見ていただけたらうれしいです。




















やざわしのぶさんのnature愛

千葉県・館山市でストールを制作しているやざわしのぶさん。
毎朝のお散歩で発見する小さな野の花にインスピレーションを受け、しのぶさんのフィルターを通した植物のモチーフ。
それらは、ニードルパンチなどによるフェルトやステッチによって表現されます。
その図案化された植物はあまりにもキュートで優しく愛にあふれています。
しのぶさんのテンでの企画は今回で2度め。
乙女心をガッツリつかまれた人がたくさんいらっしゃいましたが、私の乙女な心もヤラれました。

しのぶさんのコメントです。
嬉しくなる気持ちが湧いてくるまで模索します。
そして、同じシリーズを何枚つくっても、一枚一枚仕上げると、「あぁ、コレだよなぁ。」と思います。
ずっとつくり続けても変わらない気持ち。
その中でもアタラシイ小さい発見をして、それを積み重ねて。
この頃は、なるべくシンプルな線と複雑な色を、より意識するようになりました。
つくる時には、モチーフを描くだけでなく、あの感じ!というような感覚や空間を意識して、
最終的に、リズムが感じられるような全体を目指して。
今回は、秋の始まりに上着代わりになるようなウールの大判ストールもつくりました。















コラム vol.117 "坂井千尋さんのnature愛" "やざわしのぶさんのnature愛"