ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.121 "中田篤さんの shape & texture" "小高善和さんの shape & texture"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.123 "中田篤さんの shape & texture" "小高善和さんの shape & texture"

<2019年4月号>

中田篤さんの shape & texture

三重県伊勢市で作陶されている中田篤さん。
大阪芸術大学で映像を専攻。
大学時代、お友達のお父様が伊賀で茶陶を制作していて、アルバイトで窯焚きを手伝っているうちに火を焚くのが楽しくなる。
デザイン事務所、出版社などへの就職活動に失敗し、そのまま弟子入りし焼き物の世界に入りました。
4年後、独立し、現在に至ります。
中田さんの作品は、いわゆる伊賀焼とは全く違います。
機械でやらされている感じがするからロクロが好きではないと言います。
たたら(板状にした粘土)を切り取り、パッチワークのように貼り重ねていき、自然な歪みを楽しむ。
器を作るというよりは、なにかオブジェのようなものを作っている感覚。
クレーが好きだというのもうなづけます。

個展など発表を始めて20年。
今、中学生となったお子さんが生まれてから、作風が明るいタッチに変わったのだそう。
子どもに絵本を読んであげたり、遊んだりするとき、子ども受けのする優しくポップな色合いが影響したのでしょう。

奥様の有香さんが、ステキな花屋さんをはじめ、仕事が忙しくなったため、中田さんが食事づくりを担当。
夕方5時になると、食材の買い物に出かけ、家族の夕食を作る。
毎日、工夫を凝らし美味しく作って家族の反応を伺い、次により美味しくウケのよい料理を作ることに喜びを感じるとのこと。
その暮らしの中の積み重ねは、中田作品に新鮮な刺激を与え、新たなものづくりに反映されているのだと思います。















小高善和さんの shape & texture

gallery tenの企画展では、毎年登場の千葉県白子町で革の靴を制作されている小高善和さん。
私は1年のうち300日くらいは小高さんの靴を愛用しています。
彼の靴を一度履くと、身の一部になっているかのように、楽で心地がよいのです。
小高さん曰く「どちらかというとバブーシュは長い距離を歩くための靴ではない。」とのことですが、長い時間履きたくなる人が多いようです。
常に、ヒトの足や歩行によりよい素材、カタチ、仕様を研究し、誠実な靴を作ることに努めています。
年々、小高靴を注文する人が増え、その中の大半がリピーターであることが、そのことを実証しているのだと思います。

現在、工房横にある古民家のご自宅をリフォームしているところで、日々、家づくりを見て刺激を受けています。
靴づくりで独立してから約9年、発表の場が着々と増え、多くの人に喜んで着用してもらえるようになってきた。
家でたとえると、ようやく基礎ができたところくらいだと言います。

今では、靴の注文をたくさん受けるようになり、常に工房の作業台に向かって制作する毎日。
また、小高靴を永く大切に愛着をもって履いてもらうため、修理やメンテナンスも怠らない。
地域の中での役割、家族の行事など、時間がいくらあっても足らないくらい忙しいけれども、
今後は、いろんな人と交流する機会を得るため、少し工房の外に出る時間を増やせたら、というのが希望のようです。

毎年新しい素材や色が増え改良されていく定番のバブーシュや紐靴やベビーシューズに加えて、
フルオーダー、セミオーダーの靴を展開します。
オススメはバフ加工した後にホワイトワックスを塗り込んだ麻のような表情をもった革を使用した靴です。
うれしたのし、自分の靴探しをしてみませんか。















コラム vol.123 "中田篤さんの shape & texture、小高善和さんの shape & texture"