ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.133 "高橋朋子さんの作品美" "戸田晶子さんの作品美"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.133 "高橋朋子さんの作品美" "戸田晶子さんの作品美"

<2020年3月号>

高橋朋子さんの作品美

高橋朋子さんとは長いおつきあい。まさに才色兼備を絵に描いたような女性です。
そして朋子作品もしかり。凛とした美しさの中に知性と品性をはらんでいます。

ここのところ、次々と工芸の世界で受賞を重ね、飛ぶ鳥を落とす勢いの朋子さん。
そこから社会的な評価を意識し始め、自身の学びへの欲求、よりよいものを生み出していくことへの想いが高まったのだそう。
美術館や気になる展覧会にはなるべく足を運び、古美術の鑑賞会などにも通っています。
陶芸の仕事と大きくかけ離れていないけれど、自分の小さな守備範囲を超えて
様々なものを五感で味わう時間が大切だと感じ、忙しいながらもっと外に出る機会を作りたいとのこと。

最近、水や光や月などを特に近しいものと感じ、それらの自然の印象を作品の中にとりこんで制作を続けています。
自分の感覚で楽しく作ること、その流れで、いろんな金属箔を取り入れる試験や、造形を探る作業に取り組んでいます。
作品ひとつひとつ、丁寧に向き合えるような関わり方をし、今まで以上にさらによいものにしていきたいと言います。

ある人々の空間の中で、または暮らしの中で、そして掌の中で使いながら愛でるものであってほしい。
そんな朋子さんの、見目麗しい器やオブジェやアクセサリーが勢ぞろいします。ぜひご高覧くださいませ。









戸田晶子さんの作品美

体育大学で舞踊を専攻していた戸田晶子さん、将来はダンサーになろうと思っていました。
卒業後、ダンスをしながらアルバイトをする生活を数年、何か心は満たされず悶々としていたところ、
石の彫刻をしている従妹から「ガラスをやってみたら?」と促され、早速本屋で関連書を買ってみてビビっとくる。
まずは都内の講座に通い始め、初めて表現物としてのガラスの魅力に引き込まれました。

ガラス、特に吹きガラスにはダンスと同様、身体性を感じると言います。
呼吸、リズム、バランス、力の抑揚、空を切る感覚、カタチへの追及、・・・・・。
美大を出たわけではないけれど、体感として、ダンスとガラスの共通の美意識が妙に腑に落ちる。
やきもの、金属、木、漆、石、石膏、布、・・・のあらゆる工芸品の中で、
晶子さんにとってはガラスという素材は、時間や広さを超えた世界観、もっと言えば宇宙が感じられる素材だったのです。
そして、晶子さんの手によって成されたあまりにも美しい作品をじっと眺めているとその宇宙に吸い込まれるような気さえします。

2年前に工房を築きました。
ガラスの工房は一年のうちの少しの期間以外は24時間ずっと焚き続ける炉を維持していく大変さがあります。
襟を正し気を引き締め、これから突っ走るという意気込みが感じられ、とびぬけた美を見せてくれることでしょう。







コラム vol.133 "高橋朋子さんの作品美" "戸田晶子さんの作品美"