ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.2 "asitis""土鍋くん(宮地生成さん)"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.2 "asitis""土鍋くん(宮地生成さん)"

as it is 土鍋くん(宮地生成さん)(ギャラリーテン〜コラム vol.2) <2005年12月号>

as it is

ウチから車で30分ほどの笠森というところに、素敵な小さな美術館があります。
古道具店を営まれている坂田和實さんがオーナー。


as it is (金・土・日・祝 10:30〜16:00 オープン)
千葉県長生郡長南町岩撫ユートピア笠森隣地
tel:0475-46-2108
中村好文さん設計のなんともいえない素朴で凛とした空間。
土くさいのにどこか新しくてカジュアル。
気が遠くなるほど大昔の土器、そこに調和する現代モノなど、 洋の東西を問わず整然と配置されている。
何時間でも座って、自分が素になり、モノと場の空気感を楽しむことができる。

ヒトはあの土壁の空間に身をおくと、母胎の中で愛しまれているような感情をよびおこすのではないかと思う。
日頃の邪念がす〜っと脳天からぬけていってしまう。
時間がたっぷりできたら、また行ってのんびりして帰ってこようかなあと思います。





土鍋くん ♪

ウチで大活躍の3つの土鍋をご紹介いたします。

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( 左から、@、A、B )
まずは炊飯鍋。
これは、小山義則さん作の土鍋です。 (@)
内ブタがついて、ごはんを炊いても吹きこぼれない上、
圧力をかけてたくので、ふっくらもちもちに炊き上がります。
20分炊いて、15分ほど蒸らすだけ。カンタン!おいしい!
火加減によっては、カリカリのおこげも楽しめます。

前の晩に炊いて余ったごはんは、翌朝、水を足してもう一度炊く。
沸騰してきたら火を止め、グツグツいっているうちに塩ひとつまみ入れて大きなレンゲで優しくかきまぜて待つこと数分。
おいしいおいしいおかゆのできあがり。
とても得した気分です。

次に、この寒い季節大活躍の、椎名勇さん作の土鍋。 (A)
ふたを閉めて火にかけていると、そのうち、ふたの取っ手の水牛の鼻の穴から、シュ〜っ!楽しい!
蒸気が出てきたら、沸騰の合図です。

この鍋では、寄せ鍋、しゃぶしゃぶ、おでん、湯豆腐・・・はもちろんのこと、 焼肉なんかも実はおいしくできるのです。
熱くなった鍋底に油をひいて塩コショウしたお肉をしきつめ、 その上にキャベツやらもやしやらにんじんやらピーマンやらきのこやら、 たっぷりの野菜を山盛りのっけ、酒をパパッとかけます。
背の高いフタをかぶせて、蒸し焼き状態に。
遠赤外線効果で素材の芯までしっかり火が通る。
蒸気が出てきたフタをあけてびっくり。
あんなに山盛りの野菜がシャキッとペシャンコになっている。
食べてまたびっくり。
野菜の味が凝縮されておいしい!
好みのタレをドワ〜っとかけてガッツリいただきます。

そして、1年中登場の、今回の展示会の作家・宮地生成さん作の土鍋。 (B)
カレー、シチュー、煮物、・・・。
夏場なんかは、この深い土鍋に氷水をはって、お茶を冷やしたりゼリーを作ったりもします。
忘れてならないのが、大阪名物ネギ焼きの具。
牛スジ肉とこんにゃくを甘辛く5時間ほど煮込むのです。
できた具は、鉄板に薄くひいた小麦粉のタネの上にドサっと置き、その上にわけぎネギを両手いっぱい。
そして、溶いた小麦粉のタネを上から廻しかけ、裏返す。
できたてホヤホヤにレモン汁たっぷりとポン酢をかけ、いただきます。
コレ、かなりおいしいです!

土鍋って保温の達人です。
火を止めた後、ず〜っとグツグツいっているのを見ているのがおもしろくて好きです。

鍋って場所をとって収納に困りますよね。
でも、作家モノの土鍋は、コンロの上に置いているだけでオブジェです。これこそ“見せる収納”ってやつ。
鍋ごと食卓に出しても絵になる。
ホカホカのお鍋が食卓にのぼると、ほんわかと幸せ気分になります。

コラム vol.2 "as it is" "土鍋くん(宮地生成さん)"