これらの蕎麦チョコにどんな上絵が・・・♪
アトリエの壁
戸出雅彦さんの色絵
以前からずっと気になっていた戸出雅彦さんの作品。
1年ほど前、金沢の戸出さんのアトリエを初めて訪ね、今回で二度目。
戸出さんのおじいさま・お父さまは、九谷焼の上絵師。
現在は戸出さんのお兄さまが継いでおられる。
小学生の時すでに陶芸家を志し、美大を出、会社員としてデザインの仕事を。
その後、金沢卯辰山工芸工房で陶芸専門員を経、独立。
お子さんが生まれてから絵本を見る機会が増え、そこから触発され、
伝統的な“九谷”然とした花鳥風月の絵ではなく、幼少期に家族の一員だったジョンという犬の絵を描いてみた。
自由で独特のファンタジーの戸出ワールドがそこから始まる。
戸出さんの奇想天外な絵の世界は、基本的な範疇からいえば九谷でありながら、
アウトサイダーアートをも彷彿とさせるアヴァンギャルドファンタジーが大きな魅力。
国内外で熱狂的なファンがおられるのも頷ける。
金彩で絵付けをしているところを見せていただきました。
細い面相筆で下書きなしでどんどん描き足されていく。
その細かい絵が細胞のようにどんどん増殖していく。戸出さんは、表面を全て線で埋め尽くしたいと。
通常のやきものなら、造形後乾燥して削る→素焼き→釉掛け→本焼き。
戸出さんの作品は、そこから上絵を描く→焼きつける→上絵→焼く・・・が加わる。
何一つ同じ作品がないし、どこまで手を入れるのかと際限がない。
戸出さんは、これらのものづくりが楽しくて楽しくてたまらないのだとか。
とにかく好きなように思いのままものづくりをしている時が至福と。
“楽焼”が海外で“RAKU”と呼ばれるように、“色絵”が“IROE”と認知される日も近いか・・・。
現在、金沢21世紀美術館で陶土づくりのワークショップの講座を担当されています。
戸出さんが作家活動をされて以降、ずっと磁器に絵付けをしてこられましたが、
今回、そばちょこを作ってほしいと依頼したところ、珍しい陶器に挑まれました。
まずは金沢周辺の山の土を採取してきて、土づくりから始められ、テストピースをたくさん作って研究されました。
その土の素地に上絵付けをするというのがどんなふうになるのか新たな戸出作品が生まれようとしています。
戸出さん自身も、今後の土ものへの展開が楽しみだとおっしゃっていました。
7月中旬に伺った時点では、素地ができていて、絵付け前の作品を見せていただきました。
もう楽しみでしかたがありません。
THE 木村硝子店
木村硝子店ショールーム
木村硝子店のグラスを8年ほど前から毎日使っています。
しかも食洗機に入れて洗っているということを木村さんに言ったら、それはやめるようにと言われました。
肌の薄いグラスを5点ほど購入したうちの2点が生き残っています。手洗いしていれば、きっと全部今も現役だったはず。
ハンドメイドながら比較的丈夫で、実用的、かつリーズナブル価格がうれしい。
木村硝子店・現代表の木村武史さんは3代目。
1910年(明治43年)創業。
当時より業務用に焦点を絞り、“普通”の中に使いやすさや飽きのこない製品づくりを心掛けておられます。
現在は複数の工場にてオートメーション・手吹きの二本立てで、世に木村硝子店製品を送り出しています。
木村硝子店では、多くのデザイナーや、ソムリエなどとのコラボレーションのモノづくりも増えてきました。
しかし、他のガラスプロダクトの会社のものではなく、台頭してきている安売りショップのものでもなく、
ガラス作家がつくる個性的な作品でもない、“THE 木村硝子店”のガラス。
シンプルで飽きのこないデザインであること。
シンプルデザインほど難しいものはないと思います。奇をてらったデザインはわかりやすいが、シンプルでいてそこに存在感を持たせること。
それは品格であったり洗練であったり佇まいであったり・・・。ここのところの感性が問われるのです。
木村さんの持ち物に対するこだわりとそのセンスのよさを知り、木村硝子店のあり方を垣間見ることができました。
部品を自分仕様にした自転車、バイク、インテリア、メガネ、洋服、・・・・・。
簡単な一言でいえば洒落ている方だ。
当店のカフェでは、ドリンクやスウィーツメニューはいろいろな作家の器でお出ししています。
お客様が席につかれてすぐにお出しする水は、木村硝子店のグラスで。これがとても評判がよい。
使って使って使いまくって楽しめる食器。
まずはそのことを味わっていただくため、カフェで起用することに決めました。
今回の食事会では、木村硝子店からグラス類も多種出ますが、ガラスの皿や鉢なども多く使用します。
夏の食卓に清涼感を与える重宝アイテムです。お楽しみに。
コラム vol.45 "戸出雅彦さんの色絵" "THE 木村硝子店"