ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.67 "小高善和さんの靴づくり" "gallery ten のランチ事情♪"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.67 "小高善和さんの靴づくり" "gallery ten のランチ事情♪"

<2014年6月号>


小高善和さんの靴づくり

千葉・九十九里浜にほど近い白子町で、靴づくりに情熱をかたむける小高善和さん。
幼い頃から外遊びはもちろんのこと、プラモデルを作ったり、ラジコンで遊んだり、絵を描いたりすることが好きでした。
サッカー、テニス、バスケットボールなどスポーツ万能。
高校で始めたバスケットボール部では、バスケットシューズの機能的な面に興味を持ちました。
そして足に合ったシューズがいかに運動効率が高いかを初めて意識。
当たり前のように有名大学に進み、一流企業に就職するという進学校ならではのステレオタイプな進路に迷いはなく、 東京の大学で心理学を専攻するも、何かが違う、やりたいことではない、おもしろくない、・・・・・と、悶々と過ごす。
成人式のために、きちんとした革靴を買おうとある店に行ったときにもらった靴の業界紙で『靴を作ることができる』ということを知り、 「これだ!」と感じました。
なんとなく物づくりに興味は持っていたけれど、特に何をといった意思もなかったのですが、ついに自分の進む道が決まり、 大学は2年で中退し、靴の専門学校に行くための資金を稼ごうとアルバイトに専念しました。
しかし、そのうち、いい服や車がほしい、どこかに旅行したいと、多くの誘惑との葛藤に苦しみながらも、 行くならここだな、と決めていた“モゲワークショップ”という都内にある週に一度の靴づくりの教室に25歳の時に通い始めました。
これなら仕事と並行して通うことができると一気にテンションアップ。
まずは自分が本当に靴づくりをやりたいのかどうか向いているのか向いていないのかを試すために通い始めたのです。



「楽しい!」 
ここから小高さんの靴づくり人生がスタートしました。
この教室には5年間通い、その間、靴を作るという技術だけではなく、靴への意識、靴と人の健康の考察、・・・・・、
多くのことをぐんぐん吸収していき、32歳で独立しました。

現在、靴を作ることで多くの“気づき”に触発されるそうです。
それらの気づきが身近な生活のあらゆることに当てはまる。
大量生産の靴が出回る中でオーダーメイドの靴を作る意義にますます“つくる”意識が高まる。
人の足は個々に違うし、同じ人でも左右で違う。
その人その人とじっくり向き合い、足のサイズを測るのみならず、
どんな人柄なのか、どんな嗜好を持っているのか、どんな暮らしぶりをしているのか、・・・を感じとり制作していくのだそうです。
小高さん自身が靴を制作するのと同時に、一般の方を対象に靴づくりの教室も開いています。
“つくる”ことを介して、いろんな人たちとのコミュニケーションが、より大きく深い靴への関心を高めていきます。
きっと小高さんは人が好きで靴が好きで、だからこそ、今の仕事が楽しくやりがいを感じるのでしょう。何より彼本人が楽しそうだ。

今回の企画展では、オーダー、セミオーダーをお受けするために、小高さんが多くの日程で在廊予定です。
また、サイズ展開の既成の靴や、ベビーシューズもたくさん作ってくださっています。
革の種類や色使い、デザインなど、小高さんの感覚を駆使して丁寧に作られる魅力的な靴がたくさんそろいます。
またそれらの修理も承ります。
私がアトリエに伺った時、かなり履きつぶしてソールがベロンとはがれた靴がありました。
持ち主の方が気にいってはいた証拠に、靴の形がその人の足に沿ったのでしょうか、身の一部になっていたことがわかります。
そして、それをまた修理して、その後も革の味わいとともに履き続けていかれるのです。
真摯にモノづくりに取り組む好青年・小高さんの人となりと作品にぜひ触れてください。

gallery ten のランチ事情♪



gallery ten は今年10月で10周年を迎えますが、大網に店を移転してからは2年半。
そこからはカフェを併設して、いろいろな作家ものの器でお茶やケーキを提供しています。
当初からカフェにいらしたお客様の「ランチはないの?」という声が非常に多かったのですが、 食事を作ってお出しするということが困難で、なかなかランチに取り組むことができませんでした。
ちょうど一年前、ゴールデンウィークに、遠方からいらっしゃるであろうお客様に ランチの用意をできないものかと検討したことから始まったカレーランチ。
店主やスタッフがどれだけ美味しいものを作ることができるかは疑問。
考えた結果、月替わりでいろいろな方に美味しいカレーを作ってもらうという“他力本願”ランチ決行!
カフェの店主さん、料理研究家さん、レストランのシェフ、カレーの名店、料理上手と評判の方、・・・・・のカレー。
限定期間には、朝、米を精米し研ぎ土鍋で炊き、カレーを温めて皿に盛る。
最近では、毎月楽しみにカレーを食べに来られる方も増え、 「○月のカレーが一番好みだった」「今回のカレーは絶品だな」などのご意見も。
こうして、日ごろからどこかに美味しいカレーを作る人がいないかと偵察をしている次第です。

また、世界中の珍しい美味しい野菜を育てる kiredo の栗田貴士さんによる、 月々の旬の野菜を使った前菜・スープ・パスタ・ドリンクの月に一度のランチも大好評です。

食と器を同時に楽しめるイベントとして食事会をなるべくたくさん開催したいと画策もしております。

今月は、22日(日)の kiredo のランチ、“蕎麦おゝ葉”の期間限定のグリーンカレーに加えて、 それら以外の営業日全日、“おゝ葉”の大場敬弘さんの蕎麦ランチを予定しています。
ぜひ、ギャラリーで作品を楽しみ、カフェでランチやお茶をご賞味ください。

コラム vol.67 "小高善和さんの靴づくり" "gallery ten のランチ事情♪"