ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.80 "白 or 黒? 菊池昌子さん" "サブロウさんの美しいガラス作品"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.80 "白 or 黒? 菊池昌子さん" "サブロウさんの美しいガラス作品"

<2015年7月号>

白 or 黒? 菊池昌子さん

北海道で生まれ育ち、12年前、千葉・鴨川に移住された菊池昌子さん。
ご主人のお仕事でつくばやアメリカに住まわれていたこともありますが、今の海と山の広がる自然豊かな鴨川の環境が気に入られています。
私も千葉県民ですが、昌子さんのアトリエ訪問で鴨川のよさを改めて実感しました。

子どもの頃から絵を描くのが好きで、漠然とグラフィックデザイナーになりたいと思っておられました。
当時の高校の先生が工芸好きで、昌子さんに染色を勧められたことで、短大の工芸科で染色を専攻。
当初は化学染料を使っていましたが、そのうち草木染めに魅せられ、しばらくはずっと草木染めで制作していました。
結婚後も制作は続けましたが、草木染めをするには広いスペースが必要なので、それ以降は墨で染めてみようと考え、今に至っています。

昌子さんの染めの技法はいわゆる型染め”というものです。
植物が好きで、型を起こすための図案は植物からインスピレーションを受けることが多いそうです。
型染めは昌子さんの性分にとても合っているとのこと。
昌子さん、墨染めでは、黒の濃淡と生地の白の余白を大切にされていますが、ご本人の性格は白黒はっきりつけなければ気持ちが悪い”タイプ。
グレーゾーンはありません。 好きか嫌いか、有りか無しか、きっちりしているかだらしないか、まっすぐかうやむやか、・・・・・。
きっちりと型を彫り、きっちりと型どおりに染め上げる。
型が同じでも、型置きして柄を組み合わせることによって千差万別の染め模様になる。
40年以上染色をしてきて、飽きたことは一度もないそうです。

昌子さんにはいろんな一面が共存していると思います。
おっとりしている、チャキチャキしている、おちゃめ、生真面目、オトコマエ、上品、ユニーク、好奇心旺盛、人懐っこい、・・・・・。
今回、できる限り在廊してくださる予定です。昌子さんの人となりにも触れていただきたいと思います。
バッグ、ストール、スクリーン、テーブルランナーなど、バリエーション豊かに展開します。
ぜひこれらの作品から昌子さんを感じ取ってくださいね。





サブロウさんの美しいガラス作品

なんともモダンで洗練されたガラスモザイクの柄。
雑誌かwebで一目見て魅了されたそれは、サブロウさんの作品でした。
サブロウさんの作品によく使われている、大小の四角の集合体。
これは水面(みなも)をイメージされたもの。  サブロウさんの故郷・琵琶湖の水面です。
この幾何学的な模様が実に美しい。 どんな食材を盛ってもキリっと受けとめます。分厚く安心感もあります。

高校卒業後、漠然と海外に行って何かをしたいと思っていたサブロウさん。
知人の紹介でドイツのワイン会社に就職し、日本人観光客を相手にドイツワインを紹介する仕事を3年半。
ドイツの人たちはものを大切にすることを知る。日本では便利なものがどんどんはびこり、安いものを使い捨てていくことが多い。
ベルリンにあるカイザーヴィルヘルム教会”の美しいガラスでできた壁に感動したことが、今のサブロウさんのものづくりを支えていると言っても過言ではありません。
22歳で帰国し、何かやってみようと思い、いろいろ考えました。
工芸を考えた時、陶芸は地元・信楽が身近にあったので想像がつく、木工もなんとなく想像がつく。
全く未知の世界のガラスはどんなものなのか、そして、ドイツで見た教会のガラス壁も彼の脳裏に焼き付いている。
富山に移住し、富山ガラス造形研究所で学ぶことにしました。
その後、ガラス工房で仕事をするかたわら、アート関係のイベントに参加。
そのうちアートからインテリア、そして工芸に魅力を感じ始め、10年ほど前から本格的に器制作を始めました。

サブロウさんのガラス制作の技法は、よくある吹きガラスとは異なり、キルンワーク”と呼ばれ、窯(キルン)に入れて焼いて作られます。
まずはガラスの粉から板ガラスを作る。その板をナイフでスジをつけて割り、ガラス片を作る。
平たい板にガラス片を配置し、隙間に色ガラス粉で埋め、窯で焼くと、ガラス片が溶けてそれぞれがくっつき、溶接部分が柄となった一枚の板状ガラスになる。
それを立体の型に載せて窯に入れると、板状のものが重力のまま溶けて型に落とし込まれ成形されます。
冷ましてから出したその立体になったものの表面を磨いてできあがりです。
吹きガラスなら、吹いて立体にし、熱いうちにカタチを整え、冷えたら表面を磨いてできるのですが、キルンワークはさらにかなりの手間がかかるのです。
いろんな人に手軽に身近にどんどん使ってほしいという想いで、できる限りリーズナブルに提供できるよう、制作過程に工夫を凝らします。

反骨精神というか、誰にも何にも流されない、独自の生き方やものづくりを信念をもって突き進んでいるように見えます。
今後は、ガラス作品を媒体として、いろんな人に出会いたいと言います。
きっと実現するだろうなぁ・・・・。そう思わせるサブロウさんです。



コラム vol.80 "白 or 黒? 菊池昌子さん" "サブロウさんの美しいガラス作品"