ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.100 "續山茂樹さんの自由な作品" "青木美穂さんの自由な作品" "Johnの自由な作品" "daily alle colle 100号!"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.100 "續山茂樹さんの自由な作品" "青木美穂さんの自由な作品" "Johnの自由な作品" "daily alle colle 100号!"

<2017年3月号>

續山茂樹さんの自由な作品

千葉県九十九里で木版画を制作している續山茂樹さん。
誰もが知る北斎、広重、写楽などの浮世絵に代表される木版画。
木版画の基本的な工程は、@下絵を描く A版木に転写 B彫刻刀で掘る C馬連で摺る・・・。
上記工程の中のそれぞれの独創性が相まって個性が現れます。
また版を重ねていく毎に色や線が増え深みが出てどんどん変わっていくのがおもしろい。
續山さんのアタマの中にあるイメージは過去に見た自然や旅の記憶が、抽象画となってカタチになります。
彫りのバリエーションによって、細くシャープな線、粗く力のある線、カキっと角のとれた面、ぼんやりとした輪郭の面などいろいろな表現が。
また摺りにもバリエーションがあり、絵具の厚みやかすれやマットさ、馬連の力の強弱、何度にもわたる重なりの深みなどいろいろな表現が。
今回、續山さんが在廊の3日間、版を摺るデモンストレーションが見られます。
どのように作品ができあがっていくのかを目の当たりにすると、作品の観方が変わっていくかもしれません。ぜひ体感してみてください。





青木美穂さんの自由な作品

埼玉県加須市で制作している青木美穂さんのバッグは、tenで展開するのはこれで3度めです。
帆布を染めるところから始まり、それらに施すカラフルなペイント、ステッチ、またペイント×ステッチが自由に布上を駆け巡ります。
ペイントはマットだったりかすれていたり、ステッチは不規則だったり重なっていたり、氷上のフィギュアスケーターの足跡のようにも見えてきます。
帆布という頑丈でカジュアルな素材にいろんな可能性を感じさせてくれる青木さんの作品。
ご本人は人懐っこくて温かい。何度も食事したり飲んだりする機会がありましたが、一緒にいて実に楽な人です。
そもそもは、娘さんが生まれてきて着せたい服を作ったことが今の作家としてのきっかけだそうですが、
使う人が楽しくて心地よい気持ちになれることを願いながらできていくのが青木さんの作品に表れているような気がします。
妙な安心感と愛着が自ずとわきあがってくる、優しさを実感できるバッグです。
今回はバッグのほかにも帽子やポーチなども展開いたします。どうぞお楽しみに!





Johnの自由な作品

“John”という作家名で作品を発表している後藤真志子さん・堀嘉子さん・綿貫千代さん。
お三人は昔からのご親友で、私も10年以上前から公私ともにお世話になっています。
みなさん70歳オーバーとは思えないほど若々しく溌剌としオシャレ。
心温かく志高くおおらかでマイペース。人生を思い切り謳歌しているお三人です。
三人三様で、やわらかいアタマで、それぞれの持ち味や個性や感覚でサラサラっと何かを作ってしまいます。
tenのスタッフがいつもつけているサロンやカフェのお手拭きやコースターなどは全てJohn作品で大活躍!

高齢になってくるとだんだんモノを整理して身軽に・・・という方が多いのですが、彼女らはこう言います。
「あと何年生きるかわからないので何かをガマンするとか処分するというのではなく、
 朝ごはんをこの器で食べて気分がよくなるとか、いつもこの壁に好きな絵がかかっていてホッコリするとか、
 今この時を幸せに生きる方が絶対楽しい。 だから躊躇せずほしいものは買って使って楽しむの。」と。
このことは私自身も共感しますが、そんなマインドでずっと過ごしているからこそ、生き生きと輝いておられるのだと確信します。
会えばゲンキが出る。ぜひお三人に会ってみてください。納得がいくと思います。




daily alle colle 100号!

コラムを最初に書いたのは千葉市の自宅でギャラリーを始めたちょうど1年後の2005年10月でした。
趣味が高じて勢いだけでオープンしたギャラリーですが、それまではあちらこちらの店に行って作品を買うだけの客という立場でした。
専門知識もほとんどなく、自分の”好き”という感覚のみを信じて、何のツテもなく作家さん方に直談判しアトリエで制作現場を見せていただく。
そんなことを繰り返しているうちに、それぞれの作家さんたちの真摯で情熱的に制作している姿や想いが私の中に感動だけではない何かが蓄積してきました。
作家はモノを創る人、ギャラリーはモノを売る人?
いえいえ、ギャラリーは単に販売するだけではなく作家が精魂込めて作り出したモノをお客様に伝え提案することを担うのだと思い始めました。
毎回稚拙な文章ではありますが、私が個人的に感じるままを書いたコラムをフライヤーの裏面やホームページに掲載するようになりました。
過去のフライヤーをファイリングして保管してくださっているという方が少なくありません。とてもうれしく感謝しています。
国語力、文章力、表現力に乏しい私の文章ですが、いつもあまり考えすぎずに、目の前にいる誰かに話しかけるようなつもりで書いています。
後で改めて読み返すと、ことばの使い方の間違い、同じ語彙を頻発、誤字脱字、予め取材した内容が欠落、・・・など、赤面することもしばしば。
今ではブログやSNSなどでも発信していますが、作家さんの人となりや作品について少しでもお伝えできればと思っています。
でも、活字や写真では伝わりきれないので、ぜひ作家さんご本人や作品そのものに触れていただきたいし、そのきっかけになれれば幸いです。

コラム vol.100 "續山茂樹さんの自由な作品" "青木美穂さんの自由な作品" "Johnの自由な作品" "daily alle colle 100号!"