ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.27 "闘芸家・内田鋼一さん""昭和プロレスLOVE♪"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.27 "闘芸家・内田鋼一さん""昭和プロレスLOVE♪"

闘芸家・内田鋼一さん 昭和プロレス LOVE♪(ギャラリーテン〜コラム vol.27) <2009年12月号>


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闘芸家・内田鋼一さん

現代陶芸界で不動の人気を誇る内田鋼一さん。
ここ十数年、勢いがどんどん加速しグローバルに躍進していく様は眼を見張るばかりです。
全国各地の有名ギャラリーでの内田さんの個展はバーゲンセールのようだという。
3年前、無名の(!)gallery tenでの彼の個展はバーゲンではないにしろ、初めて開店前にお客さまが外で待たれていたのにはビビりました。

内田さんの魅力は、作品とヒトの両方に絶大なものがあります。
世界中の多くの人たちをひきつけてやまないのはなぜかと考えてみました。

多彩な作品のバリエーションがあるのにはいつも驚かされますが、
それらのどれ一つをとっても、まさに内田作品だとわかる独自のたたずまいが必ずそこにある。
新しさと古さ、洗練と素朴、ケとハレ、静寂と熱情、豪快と繊細、・・・・・。
あらゆる角度での対極の表現が共存している。
豊かで鋭い感性の高さが結晶として存在しているのです。

一見、コワモテで近寄りがたい風貌の内田さんですが、内面は人一倍あたたかい。
さりげなく気遣いされていたことに後で気がつくこともあり、深くて大きい懐に魅せられる。
若干アラフォーにして、人生経験をヒトより多くふんできたであろう内田さんの中に、ダンディズム”というよりは“オトコマエ”という要素がたくさんつまっている。
私よりは年下ですが、頼りになるアニキという感じ。

何度か四日市の内田家にお邪魔していますが、スッとその輪に溶け込める雰囲気があります。
私が厚かましいだけなのかもしれませんが、親戚の家に来たかのような気分。
奥様の京子さんや3人のお子さんたちとも、すぐになじんでしまいました。
この子どもたちがそれぞれ個性的でイキイキしていて、人懐っこい。
たくさんの大人たちとの交流も多いはずですが、全くスレていなくてかわいらしい。
三人三様、どんな分野に進んでいくのか今から楽しみです。
いつも内田ファミリーに混じって車に乗り込み、美味しいお店に連れて行ってもらう。
3年前にはアメ車のどでかいDODGEのワンボックスカーで。部屋に車輪がついているようでした。
楽しいひとときはあっという間に過ぎ、数年後の再会で子どもたちの成長を喜び、そしてすぐに以前どおりの雰囲気が取り戻せる。
父親としての内田さんの優しくて厳しくて大きい姿を再確認します。
この姿はご家族以外の誰に対しても一貫して見られる。そういうヒトなんだなぁ。

内田さんは格闘技好きだ。
話しているうちに必ずプロレスの話になります。
ヤンチャな一面が見え隠れし、とても楽しそう。

内田さんの肩書きは、陶芸家とも陶工とも芸術家とも、どれもコレだというものがないらしい。
あらゆる場面に挑戦し、いろんなものが融合し、常に時代の“空気”と格闘しているようである。
多種多様な要請に果敢に取り組んで完成度の高いカタチにしてしまう。
この際、“格闘家”ならぬ“格陶家”、あるいは、“陶芸家”ならぬ“闘芸家”と命名しよう。



昭和プロレス LOVE♪

私が子どもの頃、ゴールデンタイムに、母が側で家事をしているのを横目に、父と二人の弟とテレビに釘付けとなりプロレスを観ては興奮していました。

そして今でもプロレスが大好き。
このプロレスというヤツは、相撲、柔道、空手、ボクシング、K−1などにはないおもしろさがあると思います。
純粋なスポーツというよりは、ショウ、エンターテイメントなのです。
レスラーや、たまにはセコンドまで、キャラクターが明確にあり、それぞれの役割が本気で演じられる。
観客もレスラーたちの技術を楽しみながら、お決まりの演出や虚飾までも期待する。
私が大阪出身だからなのか、吉本新喜劇を観る感覚に似ている。(プロレスファンの方、不適切な表現ならごめんなさい。)
筋書きもなんとなく読めるが、単純におもしろい♪

私が小学生の頃、自分のお小遣いで初めて買ったレコードが「スカイハイ」。
これは当時人気絶頂だったレスラー・ミルマスカラスの入場テーマ曲でした。
10年以上前の私の携帯電話の着信音が、今でも活躍している蝶野正洋の入場テーマ曲でした。人前で鳴ると恥ずかしいので半月ほどでやめてしまいましたが。
ホールに観戦に行ったときは、ほとんど席に座っておらず、花道横でカメラ片手に待機して、登場するレスラーの背中にタッチしては喜んでいました。

娘はジャニーズの山ピーの大ファンで、彼の出ているドラマを録画し何度も見返しているのに、そのストーリーはなんとなくしかわかっていない。
「ねぇねぇ、じっとドラマみていて、ストーリーわかってなかったの?ホント?大丈夫?」としばしばあきれることがある。
でも、考えてみると、私の高校時代、大好きだったアメフト部の先輩の試合観戦に何度も行ったのに、いまだアメフトのルールさえ理解できていない。
娘の塾の先生が小橋健太(レスラー)に似ていることで、面談での話の内容があまり頭に入っていない。
そして、ずっと食い入るように観てきた昭和プロレスも、選手の名前はわかるが、どんな試合をしたかとか、歴史や背景をほとんど覚えていない。
熱狂的に好きな人やモノって、視覚から頭を通らずにハートに直結しているのかもしれない。
そういう意味では、内田さんの作品は、理屈ではなくただ「好きだ!」と言える何かがある。
結局のところ、昭和プロレスと内田さんをムリヤリ結びつけましたが、どちらもハッピーにしてくれる熱い存在だということでひとり納得!

 

コラム vol.27 "闘芸家・内田鋼一さん" "昭和プロレス LOVE♪"