ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.36 "ピーターパン・ラファエル ナバスさん""激愛☆フレンチブルドッグ"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.36 "ピーターパン・ラファエル ナバスさん""激愛☆フレンチブルドッグ"

ピーターパン・ラファエル ナバスさん 激愛☆フレンチブルドッグ(ギャラリーテン〜コラム vol.36) <2011年6月号>

ピーターパン・ラファエル ナバスさん




愛知県常滑市のラファエルナバスさんのお宅兼アトリエには二年ぶりの訪問。
入口の壁の上には「有限会社 武山人形園」という古い看板がかかっています。
第二次世界大戦後、連合国軍占領下時代、“made in occupied Japan”として輸出用に作られていた陶人形の元工房でした。
広い敷地の中に3箇所の工房があり、青々とした庭には、あちらこちらにラファさんの陶の作品がかくれんぼしているかのようにいます。
奇抜でカラフルな元気いっぱいの作品たちが自然の中に何の違和感もなくとけこんでいます。
リビングは、天井の高い土壁の日本家屋。
壁にはポスターやらはがきやら絵やらが隙間なく貼られていて、ところどころに素朴な古い仮面や変な顔のオブジェが掛かっている。
見上げると、天窓のガラスに色とりどりのドット柄が描かれ、シャンデリアがあり、千羽鶴があり、雑多ながらいやに落ち着く。

ラファさんには、チャキチャキの奥さま、3人の娘さん、1人の息子さん、1匹のワンコというご家族がいらっしゃいます。
私がお邪魔していたとき、中学生の娘さんが帰宅し、ラファさんに「ただいま」と互いのほっぺにチュッチュッと挨拶。
ちょっと面食らった私は、おもわず心の中で「欧米かっ!」(タカアンドトシ風に)と、つぶやいてしまいました。
そう。まぎれもなく正真正銘の欧米人なのです。

日本での暮らしが19年めになるラファさんはスペイン・ハエン県生まれ。
日本のアニメが子供のころから大好きだったのだそう。「マジンガーゼット」が特にお気に入り。
スペインの美大1年生の頃、アニメのメッカ・日本を旅行し、この国の魅力にとりつかれました。
美大の博士課程を卒業後、来日し、瀬戸の窯業学校で学び、また愛知県立芸大でも学ばれました。
陶芸のみならず、版画、ガラス絵、鉄や布や木など、創作の幅はバラエティに富んでいます。
そしてどれもが、独特のラファワールド炸裂です。
ラファさんの作品は超ラテン系ですが、ご本人はとても謙虚でこどものような純粋な眼と無邪気な笑顔。ピーターパンのような人。
一日のうちほとんどアトリエで、なにかしら手を動かしてモノを作っておられるとのこと。
もちろん展覧会のための制作に追われていることもあるようですが、とにかくものづくりが楽しいのだとか。
この春から名古屋芸大で版画の講師を務めておられますが、きっとおもしろい授業なのでしょうね。生徒になりたいです。

時間とお金ができたら、すぐに旅に出られるラファさん。
母国スペインがあるヨーロッパは、たくさんの国が隣接し、国内旅行感覚であちらこちらに行かれるのでうらやましい。
その中でもオランダが興味深いそう。子供の育て方とか、窓にカーテンもなく家の中が外から明け透けで自由なところが面白いと。

会期中は、ラファさんのアトリエでの制作、ご家族、スペインでの穴窯、ワークショップ、いろいろな創作、・・・などなど、
フフフと笑みがこぼれるDVDやスライドショーを放映します。幸せと元気があふれています。
そして、陶の器や人形、オブジェ、ポットをはじめ、布のバッグや人形、鉄のオブジェ、ガラス絵、・・・・・。
ラファエルナバスのワンダーランドをお楽しみください。




激愛☆フレンチブルドッグ


ラファさんとLUNA

ラファさんちのワンコはフレンチブルドッグ。赤ちゃんの時の三日月の形の白い胸毛にちなんで“LUNA”という名の2歳♀。
ウチにもフレンチがいます。wonderfulとか powerfulとか満タンな人生(犬生?)を送れるよう“FULL”という名の7歳♂。
双方のワンコとも、それはもう家族全員から溺愛され、たいがいは誰かのカラダにぴったりくっついています。
グゴゴゴゴォ・・・。凄まじいイビキとともに、とにかくよく寝る。一日平均21時間くらいは寝ているかも。
夫のいない平日の昼間、誰かから電話がかかってきたとき、隣からのイビキ音を相手にどう思われるかいつも気になる(汗)。

先日のラファさんのアトリエにお邪魔している5時間くらいのうち、仕事の話は1時間半ほど、それ以外はずっとワンコの話。
この犬種の共通の特徴から始まり、結局は自分ちのワンコ自慢の応酬。
他の人がこの場にいたら、「バっカじゃないの。」とあきれられそうなほどの親バカぶり。
ラファさんも私も、いわゆる“ぶさかわいい”のにたまらなく惹かれるようです。
そういえば、ラファさんのアトリエから庭から置かれている作品から、いたるところにぶさかわいいのがいっぱい。
「ぎゃー、たまらん〜。」と、そのどれもこれもが私のツボに鋭く入ってくるのです。


細川さんちのMOMO(左)とGIN(右)

LUNAもFULLも、みかけは犬(子豚?)だけれど、性格はまるで猫のようです。
“忠犬”ということばが全くあてはまらない。
「おいで!」と声をかけても知らんぷりで、自分がさびしい時だけすり寄ってくる。そのくせ他人にはホイホイ外面がよい。
鼻ペチャで短毛なためか、暑さ寒さに異常に弱く、常に快適なエアコンディションの中で暮らします。
いろんなわがままな申し出(行動で判断)に、いちいち私たちはヨシヨシと甘やかしてその要求に過剰に応えます。
それでも家族全員を癒してくれる大きな大きな存在です。


寅年の年賀状の画像

FULL(左)と本濃研太さん作の彫刻(右)

ウチのFULLにいたっては、何度呼んでもこちらに振り向かないので、もしかしたら耳が聞こえないのかと心配したことがあります。
でも、お菓子の袋のカシャカシャという小さい音だけで飛んでくる。わかっていて無視しているのです。
実は、FULLが1歳未満のとき、毎週トレーナーの方に来ていただき、躾をしたことがあります。
トレーナーの指示にはシャキっと従う。でも、甘くてダメ親の私たちの言うことには全く聞こえないふり。→トレーナー、私たちの姿勢に怒る!
そんな仕打ちをしばしば受けても、「かわいい顔してぇ、もう、この子はぁ?」というセリフを一日に数十回言ってしまいます。
あまりのかわいらしさに、時々、体重14キロのFULLを赤ちゃんのように横抱きにして子守唄を。すぐにあくびをして寝てしまいます。
昨年(寅年)の年賀状に、トラの芝原人形とともに、トラのように威嚇するFULLの写真を撮るのに、
「ねんねねんねねんね〜♪」と歌って、大あくびをさそい、トラがガオーっと吠えているような表情をとらえました。まぬけな顔ですが。
3月にあった大きな地震の際は、全く動じず仰向けで大イビキをかき白目をむいて寝ていました。たくましい!
夫も娘もこの日は家に帰ってこられず、不安な一夜に、FULLが傍にいてくれたことでどれだけ心強かったかしれません。

蕎麦の名店・両国の“ほそ川”さんのお宅にも、フレンチブルドッグの“銀庫(ぎんこ)”5歳♀が。
細川さん大好物の銀宝(ぎんぽう)の天ぷらを食べた後にペットショップで出会い命名。
そして、大きいブルドッグの“ももたろう”4歳♂もいます。どこからどうみてもガタイのよい“おっちゃん”です。
銀ちゃんだけではなく、多くのフレンチはやんちゃでジコチューですが、ももちゃんは穏やかで優しい性格なのだそうです。
細川さんの奥さまが「えーん」と泣くまねをしたら、「どうしたの?」という感じで様子をうかがい慰めてくれるんですって。
厨房ではちょっと強面の細川さんも、ワンコの前ではメロメロ。
リビングにはブルドッグの大きな絵がかけられています。ある個展会場で銀ちゃんにそっくりだったからと衝動買いされたとか。
私も含めブルオーナーの知人たちも、やはりワンコグッズには目がありません。

ブルドッグの大きなファニーフェイスにズングリムックリとした体形で、散歩のときはお尻フリフリでブヒブヒ鼻をならしている後姿が愛おしい。
最近ではそうでもないですが、6〜7年前では、散歩中すれ違う人が「ププっ」と苦笑いしていく光景がしょっちゅうありました。
耳の治療で?かないように首の周りにパラボラアンテナのようなもの(”エリザベスカラー”という名称も笑える)を付けた日にゃ嘲笑を浴びる。

男前や美人はそのうち飽きると言われますが、ぶさかわいいのはますますアジが出てよりかわいらしさが増す。美しいとさえ思う。
そんなふうに迷いなく(!)思えるのが、ブルドッグマジックなのです。

 

コラム vol.36 "ピーターパン・ラファエル ナバスさん" "激愛☆フレンチブルドッグ"