ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.97 "杉村徹さんのCALM" "吉田直嗣さんと吉田薫さんのCALM"

ギャラリーテン/gallery ten〜コラム vol.97 "杉村徹さんのCALM" "吉田直嗣さんと吉田薫さんのCALM"

<2016年12月号>

杉村徹さんのCALM

杉村徹さんにはgallery tenでの企画展において最多でお世話になっています。
毎回、杉村さんについてのコラムの文章につまってしまいます。
なぜなら、杉村さんのことをいまさら取り立てて書くことがないほど、長いお付き合い。

そんな中でも最近、間接的に杉村作品のよさを再確認することがありました。

3年前、私の友人が自宅のダイニングテーブルやスツール、ベンチを杉村さんにオーダーしました。
半年後完成した作品が友人宅に届く。
そのテーブルやスツールはすぐさま友人夫婦と二人の子供たちとともに家族の一員となりました。
テーブルの肌を撫でたり、スツールに腰かけたお尻の感触を楽しんだり、ひいては卓上の料理までもが美味しくなったと言います。
今年の春、久しぶりに家族でギャラリーに来店。
5歳になる娘に、店内にある器で好きなものを買ってあげるので選んでごらんと言ったそうです。
彼女はすぐに一つの大きな皿を手に取りました。
それは杉村さんのクルミの角皿でした。

大人も子供も日常的に身の回りで親しみ、またそれが心地よいものだとしたら、そのモノはなくてはならない身体の一部と化すのかもしれません。
そして、それが心身ともにしっくりと馴染むものとなり、自然とそれを欲するようになるのだと思いました。
幼い友人の娘の中には、日々の暮らしで杉村さんのテーブルから得られる”CALM”が育まれているのだと確信したのです。

gallery ten のカフェでも杉村さんのテーブルやスツールを愛用。
そこでランチやお茶をする多くの人たちに触れられ、テーブル自身もどんどん育っていっています。

今回、いろいろな樹種の器、壁の棚、スツール、コンソールテーブルなどの出展とともに、家具等のご注文も承ります。
どうぞご高覧くださいませ。








吉田直嗣さんと吉田薫さんのCALM

静岡県の富士山の麓で暮らす吉田直嗣さんと薫さん。

直嗣さんは東京造形大学デザイン科に在学中、やきもののサークルに入るなり、そのおもしろさに引き込まれ、
一日のほとんどを部室で過ごすほどのめりこんでいたそうです。
陶芸が楽しくて仕方がなく、大学2年生の時には、都内のギャラリーで個展を開くまでになる。
このころ、陶芸家として生きていこうと決意。
大学卒業後は、伊豆高原の陶芸教室で観光客対象に講師をする。
5か月続けたが、このままずっとこの仕事でやっていくのには充足感に欠け、今後どうするかを考える時期に来ました。
当時、入り浸ってお世話になっていた名陶芸家の故・青木亮さんや村木雄二さんに人生相談をしているタイミングで、
黒田泰三さんの工房でアシスタントを募集しているのを知り、そちらに転職することになる。
グローバルに活躍される黒田さんの仕事に対するプロフェッショナルとしての意識や在りように感化されました。
それらのプロセスを経、2003年に独立。

吉田さんの作品はシンプルでモノトーン。
シンプルでモノトーンだからこそ、ごまかしはきかない。
ムダをそぎ落としたフォルムと、テクスチャにこだわったプレーンな肌。
そんな器に誠実さと”CALM”が宿る。

多摩美術大学グラフィックデザイン科を卒業した薫さんは、子供の頃から絵を描くのが好きで、大学生時代にすでに漫画家デビュー。
デビューしたことをきっかけに、以降、主に女性をモチーフとしたドローイングに挑戦しつづけています。
2012年、直嗣さんの器に薫さんが線描を施した合作”cherenbel"誕生。
二人の息の合った創作で、作品により広がりが出ました。

今回、『おせちの会』イベントで、吉田さんの器を用いて、盛り付けのレッスン後、食事会を企画。 ぜひご参加くださいね。







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