坂田敏子さんの服
穴のあいたシャツ
東京・目白で30年以上ずっと愛され続けている坂田敏子さんのお店“mon Sakata”。
生まれてきた息子さんに着せたい服を作り、敏子さんのご主人・坂田和實さんの“古道具坂田”のお店の一角で展開されたのがはじまり。
ブランド名“mon Sakata”は、息子さんの“彩門(さいもん)”というお名前にちなんでいます。
そして今ではりっぱな大人になられた彩門さんが、お店の顔となり運営されています。
“mon Sakata”の服のパターンはおもしろい。
ジャケットやスカートやセーターなど、床に広げてみると、真四角だったり左右・上下対称だったり、直線で成り立っているものが多い。
また、これらの着方はひとつのアイテムで何通りもあるものも多い。重ねて着ることだってできる。
例えば、裏面で着用した定番のコートは、正方形のパターンの2箇所に袖がついており、上下方向、前後方向を逆に着られる。
またこの布は銅線を織り込んでいるため、クシュクシュと自由にカタチが変えられ、自在のスタイルが楽しめるのです。
パターンはいたって直線的でシンプルなのですが、体をとおすとたちまちアヴァンギャルドな造形に変わります。
デザインだけではなく、素材の気持ちよさ、着込んでいくうちに馴染んだり風合いが増すのも特長のうちのひとつです。
散弾銃でバババババ〜ンと打たれたように穴のあいたシャツです。
なんでもこれらは、和實さんや塗師の赤木明登さんの私物だとか。
こうなるまでにはかなり着倒された(?)のでしょう。しかもまだ成仏されてはいません(笑)。 敏子さんはいつもお顔にシャイな笑みを浮かべておられ、朴訥で温かいお人柄です。
“mon Sakata”の服は、まさに敏子さんそのものです。
このことは、Tシャツ一枚でも一度着てみれば体感できます。
表紙のコートを広げると・・・
ムダを一切そぎ落とし、最もプレーンなものにこそ、“内面の魅力”、“遊び力”が豊かに存在するような気がします。
今回の撮影現場“kusa.喫茶”の店主・姫野さんご夫婦は、独身時の10年以上前から目白の“mon Sakata”に通っています。
男女関係なく自由に組み合わせて着られるので、男性のファンもたくさんいらっしゃいます。
また昨年彩門さんのお子さんが誕生し、おばあさまとなられた敏子さんですが、お孫さんには予想外にメロメロのかわいがりようだそう。
そして今また、大人服専門だった“mon Sakata”に、子ども服が復活するとかしないとか・・・・・♪
老若男女を問わず、この服の気持ちよさを実感してしまったからには、子どもたちにも着せたいという願望が沸くのはごく自然のこと。
敏子さ〜ん、ぜひぜひ実現させてくださいっ!(←心の中の大きな声)
as it isという胎内 現代の日本に、故・青山二郎さんが“骨董”という概念を根付かせた人物であるとしたら、 ここ十数年くらいの間に、古道具や民芸も含めた“工芸”というものに注目が集まっています。 千葉県の長南町という小高い山の上に、“as it is”という小さな美術館があります。1994年に開館されました。 現在、坂田敏子さんの“as it isを編む・つなぐ”という企画の展示が、9月6日(日)まで行われています。 museum as it is |
コラム vol.25 "坂田敏子さんの服 as it is という胎内"